ニュース

2010年5月13日 読売新聞より

けいざい交差点 サンマ輸出 ロシアに照準
阿部長商店(気仙沼市)社長 阿部泰浩さん

 日本人の食のスタイルが変化し、魚の国内需要は減っている。サンマは全国で年間45万トン水揚げされるが、国内で消費される量は20万トン強に過ぎない。
 当社は三陸で水揚げされたサンマやカツオなどを加工し、缶詰などを作っている。国内マーケットの縮小で、海外に売っていかないと将来がないと考えている。
 2005年頃から、ロシアや中国向けの輸出に力を入れている。サンマの輸出量は、2000年代前半には年間取扱量約1万トンの1割にも満たなかったが、09年には約4割に増やすことができた。
 とくにロシア向けが多い。魚食文化があるためだ。所得水準の高いモスクワなど西側には比較的高い冷凍の鮮魚を、ウラジオストクなど東側には缶詰などを輸出し、需要の動向に合わせている。
 村井知事が今月、訪露することは当社にも追い風になる。トップセールスで三陸の海の幸を売り込んでもらいたい。販路の拡大につながると期待している。
 当社もさらに輸出を増やせるよう、8月に岩手県大船渡市で新工場を稼動させる。冷凍から保管、加工まですべての機能を兼ね備えた工場だ。これで輸出割合を取扱量の5割程度まで高めたい。
 気仙沼では昨年、近海マグロ船6隻が減船し、カツオ漁も極度の不振で、水産業や水産加工業を取り巻く環境は厳しさを増している。09年の気仙沼魚市場の水揚げ高は196億円と、前年から約30%も落ち込んだ。魚が減れば加工業も苦しい。当社の売上高も約8%減の約130億円に減った。
 ただ、それでも、好漁場の三陸沖が目の前にあることは強みだと思う。輸出のほか、海の幸を魅力にした観光ホテル業もテコ入れして難局を乗り切ろうと思う。