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2010年11月4日 みなと新聞より

阿部長商店 創業50年の集大成 大船渡食品が本格稼働
水産事業の生産・加工拠点 生鮮から加工まで総合機能発揮

 気仙沼の大手水産メーカー、阿部長商店(本社・宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)が岩手県大船渡市に建設していた「大船渡食品」がこのほど竣工、本格稼働を始めた。来年4月に創業50周年を迎える同社の集大成となる工場で、生鮮から冷凍、加工まで、最新鋭の設備を備える。1日200トン以上を処理できる生鮮・冷凍ライン、冷蔵庫も1万3100トンと東北最大級の庫腹量を有し、HACCP対応の衛生管理が徹底された水産の総合的機能を持つ国内でも有数の施設だ。同社は、サバやサンマなど大船渡をはじめ、岩手県内で水揚げされた魚を中心に、”三陸産”の水産品を国内外へと発信する拠点として位置付ける。大船渡市の基幹産業である水産業振興や雇用創出など地域経済の活性化にかかる役割への期待も大きい。7日には竣工祝賀会を大船渡プラザホテルで行う。

 大船渡食品は、外貿コンテナの的航路がある大船渡港を望む北部工業団地に立地し、敷地面積が4万5408平方メートル、工場は2階建てで延べ床面積(大庇〈ひさし〉を除く)が1万6528平方メートルで、三陸地区の水産加工場としてはトップクラスの規模を誇る。今年1月に着工し7月末に竣工、8月下旬、から本格的な稼働を始めた。来年1月には加工もスタートを予定する。
 1階は主にサバやサンマ、秋サケなど鮮魚の冷凍を行い、日量200トン以上の処理が可能だ。生産ラインは鮮魚を選別するローラー選別機と重量選別機、ローラー選別機に冷凍パンライン、段ボール箱詰めラインを併設。さらに凍結庫(30トン×5部屋)、超低温庫を含む冷蔵庫1万3100トン、脱パンライン、鮮魚出荷専用ラインなどを設ける。集荷した魚はいったん、5度以下に低温管理したチルド室に保管し、外部に設置された投入口から、モニターで工場内のラインの状況を確認して、魚を送るスピードを調整しながら、鮮魚選別ラインに送る。
 鮮魚選別は藤田鉄工所(気仙沼)の「EKローラー鮮魚自動選別機」5台で、ジャミから特大まで5段階に選別。ジャミは養殖魚の餌向けに、小以上はサイズ選別して、加工原料や輸出向けに、冷凍パンライン、段ボール箱詰めラインに向ける。箱詰め後は、凍結庫で冷凍し保管する。凍結は通常15時間程度要するが、クーラー性能を高め、11時間で急速凍結でき、より高鮮度での製品化が可能という。特大魚はさらに昭和きかん(同)が納入した重量選別機(アンリツ産機システム製)で10段階に分けて、全国へ生鮮出荷する。
 魚の保管や処理に使う水は大船渡湾から取水した海水を使用。海水はろ過・滅菌処理、冷却して、水を活性化させる装置「νG7(ニュージーセブン)」(総販売代理店・山陰ネッカリッチ〈松江〉)を通水させて使う。魚体処理に最適な海水を活性化させることで、より高い鮮度保持や、酸化変色を抑えるなどの効果を発揮。「νG7」はこのほか、水道水も含め工場内で使うすべての水にも使用する。廃水処理はシェルタッチ工業(気仙沼)のカキ殻による排水処理法を採用、1日500トンの排水処理が可能な大規模施設を整備した。
 冷蔵庫はヤマダ技研(仙台)が担当した。7部屋に分かれ、庫腹量は東北地区最大規模の1万3100トン。自社使用だけでなく、営業倉庫としても使う。インバーター冷凍機を採用し、電気使用量を抑え省エネに対応したほか、冷媒は環境に配慮し、温度帯に分けて、マイナス30度はアンモニア、マイナス40度以下には新冷媒(R404)を使用。冷却方式は長期保管・短期保管する部屋の用途別に、長期は冷風を直接当てない天井ヘアピンコイル方式、短期は風冷式とした。また、荷さばき所は低温管理し、荷さばきから1次処理まで鮮度・品質保持する。
 2階は高次加工を行う加工場で、冷凍品から常温品まで手がける。加工室は1次処理を行う「汚染区」と加工を行う「衛生区」に分けて衛生管理を徹底。機械はトンネルフリーザー2台(日産6トン)のほか、焼成機、レトルト加熱機、煮釜などを備える。加工は来年1月から本格的に始め、「三陸で水揚げされた原料を使った商品を提供していく」(阿部社長)。
 また、より良い労働環境にも配慮し、最新鋭の設備による作業負担の軽減、空調の完備、休憩室の設置など快適さを追求。岩手労働局から「快適職場推進計画」の認定を受けた。阿部社長は「水産の工場は3K(きつい、汚い、危険)のイメージが強いが、新時代の工場を意識し、これまでのイメージを覆すような快適さ、仕事のしやすさを重視した」と話す。

阿部泰浩社長インタビュー 三陸の水産資源を有効活用 産地ビジネスモデル構築へ
 ――大船渡食品の建設の目的は。
 当社は来年4月に創業50周年を迎える。創業者である阿部泰兒会長が気仙沼で行商から始め、時代のニーズに応じて、生鮮出荷、冷凍事業、保管事業、水産加工への参入、さらに最近では海外向け輸出の展開と、事業を”進化”させてきた。しかし、気仙沼の工場は生鮮や加工などそれぞれが分散し、集約できるだけの敷地もなく、将来に向けて限界を感じていた。そうした時に、岩手県や大船渡市から大船渡港北部工業用地を活用してみないかというお話をいただいた。
 大船渡は気仙沼とは県を隔てているが、三陸自動車道が市日され、気仙沼との距離は感じられず、外貿コンテナの定期航路があり輸出にも適した環境で、衛生管理の整った産地市場の建設も進むなど今後を見据えた地域の取り組みと、当社の進出のタイミングが合致した。また、大船渡には北里大学があり、産学連携、さらには雇用面でも優位性を感じた。
 大船渡食品は生鮮から冷凍、加工までを1つの工場で完結する工場で、当社水産部門の事業所すべてにおいて最大規模、最新鋭の設備を有した施設で、将来的に中核の事業所となる。50年の節目に当たる当社の集大成であり、水産の産地での新しいビジネスモデルも構築したい。
 ――大船渡食品の事業方針は。
 これまで大船渡をはじめ岩手県で水揚げされた魚を主力に扱っていなかったが、あらためてみてみると量も種類も豊富で、当初想定していた以上にプラスアルファの事業展開が可能とみている。定置網で大量に水揚げされるサバや秋サケのほか、サンマ、スルメイカ、スケソウダラなど新規商材も含め積極的に扱っていきたい。
 また、大船渡食品は1日200トン以上処理できる生産ラインを備え、大量水揚げにも対応できることから、大船渡だけでなく、八戸、宮古、釜石、山田、気仙沼など三陸の各産地の状況をみながら、幅広く集荷していく考え。これまでは、まとまって水揚げされたときはどうしても県外に買付けられることもあったが、岩手で水揚げされたものは岩手で出荷・加工する体制を確立していきたい。
 三陸沖は世界三大漁場の一つであり、豊富な水産資源に恵まれている。こうした恵まれた環境で仕事していることを強く意識し、三陸の魚の価値を高める努力をし、三陸の魚の価値を無駄なく有効活用していくことも責務だ。これからは産地が需給バランスをとらなければならない時代。需給バランスを考えた上で、生鮮・冷凍出荷、加工、輸出など弾力的に対応し、「三陸産」の阿部長ブランドとして全国、そして世界に発信していきたい。
 ――今後の事業展開は。
 年内はまずサバやサンマなどの生鮮・冷凍ラインを軌道に乗せることが重要だ。年明けの1月からは加工をスタートさせる。さらに無駄なく資源を活用することを考えると将来的にはミール加工を行うのも選択肢の一つで、着実に現在の事業を軌道に乗せたうえで、そうした施設も充実させていきたい。
 まもなく始める加工品は、サバやサンマなど前浜の原料を使い、常温から冷凍品まで消費者ニーズに対応、大船渡食品ならではの商品開発も進めていく。加工品は、当社のホテルや観光物産施設など観光部門と連携し、消費者に直接販売するような新たな販売チャネルを拡充していきたい。観光部門はダイレクトに消費者の声が入り、それを現場(工場)にフィードバックして商品づくりに生かすことができる。当社グループの強みを最大限に発揮するもので、大船渡食品の稼働を機に、これまで以上に取り組みを進めていく方針だ。
 大船渡食品の本格稼働に合わせ、11月から企画室を立ち上げた。これまで食材供給などで一部の連携にとどまっていた水産と観光部門について、融合させた取り組みを進め、相乗効果を発揮していくための陣頭指揮を執る、いわばグループの”頭脳”となる部署で、新しい阿部長商店のスタートだ。50年を一区切りとし、新たな組織のあり方を模索し、時代に合った変化に対応する組織をつくり上げたい。
 また、5年ほど前から力を入れている輸出も外貿コンテナ定期航路を活用して、加工原料を中心に、国内外の需給バランスをみながら、さらに力を入れて取り組んでいく。さらに、観光にも目を向け、大船渡は水産が基幹産業であることから、大船渡地区のいわば”産業観光”の施設の一つとして、工場内の見学や、加工品販売もしていきたい。


2010年11月5日 水産経済新聞より

阿部長商店の真価が問われる第二章 大船渡食品工場創業スタート
水産食品の輸出拡大も視野に

 阿部長商店(阿部泰浩社長)が大船渡市に建設していた「大船渡食品」の加工、凍結・冷蔵保管の集約工場が竣工、稼働した。新工場の設計建設はフジタ、冷熱設備はヤマダ技研、鮮魚選別・箱詰めなどの生産ラインは藤田鉄工所が担当。工場の生産能力や冷蔵庫の保管能力はわが国最大級。同工場はサバ・サンマの凍結、鮮魚出荷などに取り組んでおり、外国から注文のリピートがあるなど順調な滑り出し。大船渡地域は豊かな水産資源に恵まれ、同地で高度な衛生管理の魚市場が完成しようとしていること、外貿コンテナの定期航路が存在し、通関手続きが居ながらにしてでき、輸出がダイレクトに行えることなどから、大船渡への進出を決めた同社。水産物の国内流通はもちろん、中国をはじめとしたアジア、ロシアから欧米、中近東などまで水産食品を世界に輸出する拠点工場が稼働を始めた。

建築面積1万3000平方メートル以上の大規模工場
 同社が、平成21年3月に取得した新工場の敷地面積は、約4万5408平方メートルと、東京ドームとほぼ同じ広大な土地。ここに約40億円をかけ冷倉庫棟・加工場棟・事務所棟を合わせた建築面積約1万3520平方メートル、延べ床面積約1万ん8327平方メートルの工場の建設がスタートすることになったのは、昨年12月のこと。
 工事の安全と施設の計画通りの竣工を祈念し、12月18日、地鎮祭が行われた。鍬入れの儀で阿部泰兒会長が「えいっ」と力強く鎌、阿部泰浩社長が鍬、フジタの工場建設責任者が鋤(すき)入れした。今年1月6日に着工、4月28日に上棟式が行われた。工事は順調に進み、今回、竣工・稼働にこぎ着けた。

作業集約型の工場
 新工場での魚介類の流れを追う。大船渡魚市場や近隣の定置網が漁獲した鮮魚を買い付けると、トラックで運ばれてくる。タンクに入ったまま、鮮度保持のため低温室で保管。工場内の作業状況に応じ、タンクに入っている魚は回転装置を使いホッパーに。直ちにコンベアで工場内に運ばれていく。
 10月15日、大船渡魚市場に水揚げされたサンマ約50トンを買った同社。その処理作業を見学した。工場内部と外気の交流をできるだけ抑えるため造られた小さな入り口から、コンベアでサンマが工場内に入ってくる。そのサンマを待ち受けていたローラー選別機が6段階のサイズに選別。選別されたサンマは、鮮魚向けは直ちに発砲スチロールの箱の中に氷と一緒に入れられ出荷された。一方、冷凍向けは機械で供給されてきた段ボール箱に自動でビニール袋が入れられ、その中に定量のサンマが次々と供給される。
 コンベアで運ばれてきた段ボール箱の中のサンマをビニールできちっと包み、フタを閉じた段ボール箱は冷凍用のラックの棚に自動で積み込まれ、フォークリフトで凍結庫に運ばれていった。凍結庫は、1部屋の凍結能力30トンが5部屋あり、8時間で合計150トンの魚が凍結される。
 凍結が終わり、ラックに積み込まれた「製品」が凍結庫から出てくると、ラックに入った魚箱が自動で押し出されてコンベアに載せられ、自動冷凍魚箱積み装置で積み上げられる。今度は保管のためフォークリフトで冷蔵庫へ。ここまでの作業を見ていると、重いものを持つ作業は皆無。重労働はすべて機械がこなすという人にやさしい工場となっている。

冷蔵保管能力1万3000トン以上
 この冷凍品の保管庫だが、マイナス30度Cの2100トン収容可能な冷蔵庫が3室、マイナス55度Cの2100トンの超低温冷蔵庫が1室。このほか社内倉庫としてマイナス30-40度Cの400トンの冷蔵庫が1室。
 これらを合計すると、同工場の冷蔵庫設備の総庫腹は1万3000トン以上に達し、しかも鮮魚処理工場と直結している「集約型」。大きな収容能力とともに作業効率は抜群。このほか同工場の4階には、魚の鮮度保持には欠かすことのできない、日産60トンの氷が生産できる製氷設備も造られた。

2階に高度加工のための設備を採用
 2階には高度加工生産設備が導入された。2・5トンのエレベーターで搬入された加工原魚は、冷凍食品ラインのトンネルフリーザーに供給される。1台の生産能力は3トンで、2台設置されているので、冷凍食品が一日6トン生産できることになる。また、各種焼き魚を生産する加熱レトルトライン1台も採用され、1日2トンのサンマの焼き魚などを生産することになる。
 さらに、病院食用や骨粗しょう症への対策には最適食品の骨まで食べられる商品づくりを行う設備も設置された。
 このように消費者ニーズに応えることができる最新の設備を有する「超」近代的食品製造工場が出現したことになる。

衛生管理・品質管理も万全
 そして加工場棟の各部屋の室温は常に15度Cが保てるように設計され、原魚や加工食品の温度管理ができるようになっている。また、わが国では初めて量子水でマイナスイオン化した浄化活水を供給する施設も併設された。
 400メートル沖から取水する海水を濾(ろ)過し、紫外線で滅菌し、量子水に変換して加工場棟の1、2階に給水している。工場で使う真水も量子水化している。量子水化することで制菌効果が抜群となり、界面活性力が倍増し活性酸素を防御し、消臭効果も顕著。選別作業をしていたサンマを鼻に触れるほど近づけた。が、においはしなかった。
 操業をスタートさせてから、同工場では従業員と懇親の場を設けた。「体が汚れない」「魚のにおいがしないので水産加工場で働いているとは思えない」。さらに、「きつい仕事は機械が全部やってくれる」など、働く人にやさしい工場を実感している声が相次いだ。

多種の製品を製造
 このように最新の設備で品質・衛生管理を徹底した同工場で生産される主要品目は、鮮魚・冷凍部門では「鮮サンマ」「冷凍サンマ」「冷凍アキサケ」「冷凍サバ」「冷凍イカ」やカツオ、イサダなど。加工部門ではサンマの「フィレー」「竜田揚」「蒲焼」「甘露煮」、サケフィレー、サバ味噌煮、マグロカツ、各種焼き魚、レトルト食品。
 サンマ、サバ、イワシなどの青魚はDHA、EPAなどが豊富。欧米では”動物油より植物油、さらにそれより体にいいのは青魚の魚油”ということが広く認知されており、今後、魚を主体とした日本食はまだまだ伸びるとみる同社。
 その青魚の資源が豊富なのが岩手県。竣工・稼働した大船渡食品工場を地域密着型の工場として岩手県のその恵まれた水産資源を全世界に流通させていきたい、と同社は大きな夢を広げている。

阿部泰浩社長に聞く 大船渡進出と今後の展望
阿部長商店(阿部泰浩代表取締役社長)のこれまでの「集大成」ともいえる大船渡食品工場が8月に竣工、稼働した。広大な敷地に、ワンフロアで作業性抜群のわが国最大級のゆとりある工場。すでに最新の機器・設備を駆使しサバ、サンマの選別処理、鮮魚出荷、凍結・冷蔵保管・出荷が行われており、同工場の集約型作業には目を見張るものがある。また、全面量子水変換、エコ排水処理など衛生面も万全。時代を先取りした新工場を完成させた同社の阿部社長に、大船渡市への進出の背景、新工場の果たす役割などを聞いた。
 ――これまでの事業の展開については。
 阿部社長 わが社の魚介類の出荷処理・凍結・冷蔵保管事業は気仙沼工場で始まった。その後、水産加工事業も含め南三陸工場、マーメイド食品、超低温冷蔵庫、関連会社のサンフーズ気仙沼など、仕事の内容や水産加工の度合いの違いなどで枝分かれしたした。
 ――大船渡への進出のきっかけは。
 阿部社長 これまで気仙沼と中心に施設整備に取り組んできたが、点在していて効率が悪く、集約型の工場の必要性を痛感していた。そんな時、岩手県と大船渡市から大船渡港北部工業用地が空いているので活用してもらえないか、という話が舞い込んできた。
 ――大船渡進出の魅力として考えたことは。
 阿部社長 大船渡進出を後押ししたのは、広大な土地が使えることと岩手県は沿岸の水産資源が豊富であるということだ。それと外貿コンテナ機能をもつなど港湾設備が整っていて、輸出の拡大を視野に入れることができたこと。また、三陸道路が整備され気仙沼とは30分で行き来でき、県境を越えて遠い、という感覚がなくなったこと、水産系の大学があり産官学の連携の可能性があることなどだ。
 ――そして完成した工場ですが。
 阿部社長 最新の設備・機器を採用していて作業性が抜群であること、衛生管理を徹底していることはもちろんだが、重いものを持つことはないし、清潔で人にやさしい工場になっている。水産加工場は3K職場の筆頭、と見られがちだが、新工場はそのイメージを変えた「快適職場」だ。
 ――来年はHACCP対応の大船渡魚市場が完成します。
 阿部社長 高度衛生管理を徹底しようという新市場の建設は、進出の大きな動機だ。当社の大船渡食品も、完成後に見に来た岩手県の達増拓也知事が「魚のにおいがしない。まるで電子部品を作っているような清潔さ」と話していたように、衛生管理は万全。魚市場-水産工場がHACCP対応で連携することは、欧州方面など海外への輸出にも対応できることになるだろう。
 ――その輸出も含め今後の展望は。
 阿部社長 輸出ということは日本に課せられたテーマだが、リーマン、ギリシャショックを経験した今、自社で最終商品まで作れる強みを生かし、国内向けの水産物流通とのバランスのよさを追求していきたい。
 ドバイで行われた展示会に参加したところ、同国の一般紙の一面に、「日本の阿部長商店がスペシャルでオメガスリーの豊富な魚をもってきた」と紹介された。日本で魚は値段が第一だが、外国では健康食品として高く評価されている。日本で魚は「おかず」だが、海外では「ごちそう」。海外で魚はまだまだ求められよう。だから、オメガスリーが多く含まれている三陸漁場の有利性を生かさないとだめだ。そのことからも大船渡食品の工場は新たなビジネスモデル工場にしていきたい。
 ――大船渡食品工場の操業開始の今後は。
  阿部社長 当社の水産・観光というハードづくりは終点に近いと思う。今後は時代に合った人・組織づくりに力を入れる。大船渡食品工場竣工は阿部長商店グループの真価が問われる第二章の始まりとなる。