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2010年11月9日 日本経済新聞より

気仙沼の阿部長商店 水産加工品 ロシアに輸出
年内メド、現地大手と合弁

 阿部長商店(宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)は水産加工品のロシア輸出を始める。年内をメドに現地の水産加工大手と合弁会社を設立し、ロシア全土の食品スーパーで日本で製造した冷凍食品やレトルト食品を販売する。輸出拡大に向けて岩手県大船渡市に水産加工では東北最大級の新工場を稼動させた。人口減で国内市場が縮小するなか、新興国に活路を開く。

50億円投資 大船渡に新工場
ロシアの水産加工大手、サプサン・グループと現地での販売を手掛ける合弁会社、阿部長ユーロフード(モスクワ市)を設立する。阿部長とサプサンがそれぞれ10万ドル(約810万円)を出資する方向で調整している。サプサンは水産物の缶詰ではロシアで20%以上のシェアを握る。阿部長とはサンマなど缶詰原料の調達で取引がある。
 サプサンはロシア全土で自社の商品を販売しており、同社の販路に乗せて阿部長が日本で生産するサンマのかば焼きやカツオの煮物など加工食品を売り出す。ロシアでも所得水準の高いモスクワやサンクトペテルブルクなど西部に重点を置く。サプサンはドイツに子会社を持っており、将来は西欧諸国での販売も視野に入れる。阿部長は輸出向け商品の生産拡大を目的に、岩手県大船渡市に新工場を建設した。投資額は土地の購入費用を含め50円。現在は大船渡の近海でとれるサンマやサバを冷凍し、缶詰の原料などとしてロシアや中国に出荷している。来年1月には加工食品の製造も始める。
 同社の本社がある気仙沼の工場は沖合いでとれるマグロやカツオを使った商品の占める割合が大きい。大船渡の沿岸や魚種が豊富で、取扱品目を拡充する狙いがある。大船渡港が外貿コンテナ航路の寄港地となり、輸出しやすくなったことも立地の決め手になった。
 阿部長は中国・大連現地法人を設けるなど、新興国への輸出を強化している。背景には人口減と魚食離れによる国内市場の縮小がある。水産庁によると食用魚介類の国内消費量は2008年度に715万トンとピークだった20年前に比べ2割減った。
 一方、ロシアは経済成長が期待される新興国。魚介類を食べる習慣が根付いており、今後も消費量の増大が見込まれる。
 阿部長は1968年の設立。水産加工業のほか気仙沼市や南三陸町でホテルなど観光事業も手掛ける。2009年12月期の売上高は132億円。


2010年11月15日 みなと新聞より

阿部長商店 ロシア企業と合弁
サンマなど水産加工品販売

 阿部長商店(宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)は年内にもロシアの水産加工大手のサプサン・グループ(ユーリー・ベルキンオーナー)と合弁会社を設立する。サンマやサバなど日本で製造した水産加工品をロシア国内のスーパー・小売店で販売、将来的には西欧諸国までマーケットを拡大させていく考えだ。

年内にも設立 西欧市場も視野
 阿部社長は「ロシアでは日本の水産物に対する理解が十分といえない。本当の”良さ”を分かっている当社自身で販売することがロシアでの販売を成功させる一番の近道。ロシアはサンマ缶詰が大量に消費されていることからも、水産物の需要拡大がまだまだ見込める」と判断、まずはサプサンがロシア国内に商品を販売しているルートに乗せ、サンマを主体に当社商品を含む日本の水産加工品をスーパー・小売店に販売していく。当面は大都市のモスクワ、サンクトペテルブルグが中心になるが、将来的には西欧市場も視野に入れている」と話す。
 設立する合弁会社名は「阿部長ユーロフード」(本社・モスクワ)。阿部長とサプサンの出資比率は50%ずつで、それぞれ10万ドル(約820万円)を出資する。事業開始は年明けの1月になる見込み。輸入販売を手がけ、阿部長商店がこのほど本格稼動させた「大船渡食品」で製造するサンマやサバなどを使ったレトルト商品や冷凍食品のほか、国内メーカーが製造した商品も扱う。2月にロシアで開催の食品展示会で、サプサンのブース内に「阿部長ユーロフード」のコーナーを設け、阿部長商店の商品をはじめ日本で加工された水産物を展示・紹介して活動を本格化させていく。
 サプサンは、サンマ缶詰生産量がロシアで約2割のシェアを誇る大手水産加工会社で、生産(漁業)から加工、流通、さらに観光事業など多角的に経営する。阿部長商店とは1年ほど前からサンマ原料販売などで取引を行っている。
 阿部長商店は5年ほど前から海外輸出に力を入れ、1年前に中国・大連に現地法人「阿部長商貿(大連市)有限公司」を設立するなど、水産物の需要が伸びる新興国に布石を打ってきた。ロシアでの合弁会社設立も海外戦略の一環。